全国花き品評会鉢物部門(シクラメン) 審査結果
部門A:4号鉢以下仕立,部門B:4.5~5号鉢仕立,部門C:6号鉢仕立,
部門D:7号鉢以上仕立,部門E:新品種コンテスト
平成28年度全国花き品評会シクラメン部門審査総評
日本大学 教授 腰岡政二
審査は大学および都県の農業普及指導機関や試験研究機関などの関係者13人からなる技術性評価チームと、流通や販売関係者および園芸研究家など6人からなる商品性評価チームの審査員に、審査長を加えた計20人により行われた。 審査には、日本花き生産協会鉢物部会長の加藤孝義氏が立会人として加わった。出品総数および審査区分数を考慮して、一次審査は出品区分を二分して各10名(技術性評価チームから7名、商品性評価チームから3名)の審査委員で実施した。
一次審査において各審査員が優良と判断した作品から投票により審査区分別に応じて擬賞相当数を選別し、それらに対して二次審査を審査員全員で実施した。 なお、一次審査において同点を獲得したものについては、区分審査員全員の合議による再投票を行った。二次審査では樹勢、花型、花色、花と茎葉とのバランス、病害虫などを指標とした技術性に加えて商品性を加味し、10点満点を最高点として採点した。 審査順位は、審査員の総合計点数の上位点を獲得したものから順に決定した。審査員に数名の交代があったが、いずれも花き生産現場あるいは普及現場において活躍している者であり、それぞれの専門性に基づいた評価を行うことでスムーズな審査進行ができた。 タブレット端末を利用した審査とはいえ、膨大な数の審査を支障なく実施できたのも、裏方としてご協力を頂いた事務局の皆様方のお陰であり、この場をお借りして謝意を表したい。
今回の審査出品総数は365点であり、昨年、一昨年に比べかなり減少した。 減少の理由として、気象が影響したものと推察された。内訳は4号鉢以下仕立が22点、4.5~5号鉢仕立が122点、6号鉢仕立が188点、7号鉢以上仕立が33点であり、区分比率はほぼ例年通りであった。 一方、新品種審査への出品は22点と、近年になく多く出品されたことに次年度への光明がうかがえた。昨年に引き続き今年も台風の上陸数が多く、特に東日本では8月後半からの長雨、日照不足により生育不良、開花遅延などの影響が懸念された。 そのような中で、例年に変わりない作品を出品する努力をしていただいた生産者の皆様方には敬意を表したい。全体としての株作りは決して悪くはないものの、気象の影響からか、出品株間に開花のばらつきが見られるものや株締りのあまいものが少なからずあった。 花色は桃から赤色が多く見られた一方で、はっきりした色合いの出品が少ないように感じられた。鉢サイズを超えた株作りがいつも話題になるが、審査を意識した作りである限り仕方のない面があるのかもしれない。
特別賞や新品種大賞に選ばれた作品はいずれも甲乙つけがたく審査員を悩ませるものであった。今回特別賞に入賞した品種の多くが桃から赤色系統の花色であり、シクラメンらしさが醸し出されていた。 一方、今年の新品種出品作は色についても花の形態についてもバリエーションの幅が大きく、中にはシクラメンかと思われる様な草姿を有するものもあり、今後の展開に大きく期待をもてたのは筆者のみではないと思う。
平成28年度全国花き品評会シクラメン部門 特別賞推薦理由
日本大学 教授 腰岡政二
農林水産大臣賞 推薦理由
千葉県から5号鉢仕立で出品されたシクラメン‘ミルキーガール’が、出品365点の中で最も優れていると評価された。 花色は白から桃色のグラデーションで花弁は中輪丸弁のフリル状で可愛いらしいシクラメンである。 深緑の葉を持ち、花立ち、花揃い、葉の締まり、花と茎葉のバランスなど全ての点において優れており、技術性のみならず商品性としての価値の高さからも審査員全員の賞賛を受けた。 ここに、特別賞である農林水産大臣賞候補として推薦する。
農林水産省生産局長賞 推薦理由
神奈川県から6号鉢仕立で出品されたシクラメン‘シューベルト’は、桃色の一重花弁を有する丸弁大輪の花冠で、いわゆるシクラメンらしい花冠を有した花と言える。 葉は濃緑に鮮やかな葉紋を描き、花立ち、花揃い、花と茎葉のバランスなどの特性の良さなど、技術性のみならず商品性として価値の高さからも審査員全員の賞賛を受けた。 ここに、特別賞である農林水産省生産局長賞候補として推薦する。